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機械いじりやモノ作りが趣味のYBJのブログです。

トラブルに向き合おう

ボランティアで、とあるメーカーのamazonに返品されたフィラメントの検品をしています。今まで10本以上検品しましたがフィラメントに欠陥があったことは一度もありません。返品理由がわからないものが大半ですが、珍しく理由がわかったものがあるので事例を紹介します。 
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フィラメントは2割ほど使用された状態でした。黒のフィラメントのため写真はわかりにくいですが、50センチほどドライブロールの歯型が続いたあと、5センチほどの長さでフィラメントが削られていました。造形中に何らかの吐出不良があり、ドライブロールの歯がフィラメントを削ったものと思われます。

ごく一部の粗悪なフィラメントで、線径の異常や異物混入による送り出し不良やノズル詰まりが起こることはありえます。しかし皆さんご存知の通り、フィラメント詰まりを始めとする吐出不良の原因の99%はユーザーのミスです。

このフィラメントももちろんテストしてみましたが全く問題ありませんでした。

これを返品したユーザーは別に悪質なわけではなく、単に経験不足なのだと思います。しかし出力失敗の原因を精査せず、フィラメントのせいにして返品してしまうのは学習の機会の損失でしかありません。そういう意味では少し残念な事例でした。

ボーデンチューブの長さから、大きめのcoreXY機と思われます。フィラメントの状態から、今回のトラブルの原因を推測してみました。
・スロートの冷却不足(ここんとこ暑いですしね)のためリトラクション後の押し戻しに失敗(ボーデンチューブが長いと起きやすい)
・スロート内部で中途半端に軟化したフィラメントが引っかかったために吐出不良になり、ドライブロールがスリップしてフィラメントを削りながら造形を続けた。

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この推測は「最もありがちな」トラブルを想定していますが、実際には3Dプリンタのトラブルは「開けてみないとわからない」ものです。トラブルに向き合うことはスキルの向上に繋がります。知識を蓄えてさらなるスキル向上に努めていきたいと思います。