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機械いじりやモノ作りが趣味のYBJのブログです。

Arc welderとAdaptive layer

curaのプラグイン"Arc welder"と、いつの間にか実装されていた"Adaptive layer"を試してみました。どちらも品質向上に役立ちますので是非試してみてください。

 

まず、アダプティブレイヤーから。日本語化したcuraでは「適応レイヤー」となっていたので気が付かなかったのですが、これはいわゆる「可変レイヤーハイト」です。レイヤーハイトはご存知の通りプリント品質に直結するパラメータの一つですが、プリント時間とのトレードオフになります。可変レイヤーハイトを採用することによって、プリント時間短縮と品質向上の両立が可能になります。
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↑大きいレイヤーハイトの場合。プリント時間は短縮できるが傾斜の緩い部分は積層痕が目立つ。
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↑小さいレイヤーハイトでは積層痕は目立たなくなるがプリント時間が長くなる。
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アダプティブレイヤーを使用することによって、プリント時間と品質の両立が可能になる。

設定はエクスペリメンタル(実験)メニューの中にあります。
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パラメータは3つ。

最大差分 レイヤーハイト設定値から、この数値の範囲で上下します。レイヤーハイトが0.15mmで最大差分が0.1mmならば、プリント時のレイヤーハイトは0.15±0.1で0.05~0.25mmの間で変動します。

差分ステップ 次のレイヤーとのレイヤーハイトの差の最大値。大きいほど急な変化が可能です。小さいと滑らかな変化になります。

トポグラフィーサイズ 次のレイヤーとの段差の幅がこの数値に近付くように制御されます。
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↑わかりますかね?

実際のプリントがこちら。
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左がレイヤーハイト0.2mm(プリント時間約9分)、右がレイヤーハイト0.6mm(プリント時間約30分)中央は0.04~0.2mmで変化するようにアダプティブレイヤー設定した物で、プリント時間は約11分です。画像を拡大して見てください。

 

次はアーチウェルダー。オクトプリントのプラグインとしてリリースされた時に話題になりましたが、最近curaプラグインが公開されました。

公式マーケットプレイスからインストールすると、「特別モード」の中にメニューが出現します。(メニュー表示を"All"にしないと出ないかも)
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パラメータが多いですね。

Maximum Arc Radius 最大アーチ半径。計算上の曲線半径がこの数値を超える場合は曲線化されません。

Tolerance 許容範囲 曲線化した場合の半径変化の許容誤差(パーセント)

Resolution 解像度 曲線化した場合のノズル軌跡の許容誤差(mm)

Minimum arc segments 最小セグメント数 例えば12ならば、円にした場合の形状が12角形未満なら曲線化されません。

Mm per arc segment 1セグメントあたりの長さ(mm)この長さ未満のセグメントは曲線化されません。f:id:YBJack:20210327005353j:image

右がデフォルト、左がアーチウェルダー適用。右は側面が多角形になっているのがわかりますか?実は初期設定ではパラメータの範囲指定が厳しくてかなり細かい多角形じゃないと適用出来ません。プラグインの設定ファイルを書き換えるとこの範囲指定を変えることができますが、linuxではファイルを見つけることができませんでした。windowsでの設定方法はyoutubeで検索すると出てきますので是非。

ちなみにこのプラグインの名称"Arc welder"ですが、アーチ曲線を表す"arch"と、アーク溶接の"arc"がかけてあるそうです。なのでこちらのカナ表記では「アーチウェルダー」と表現させて頂きました。

さて、アダプティブレイヤーもアーチウェルダーもとても有用なオプションだと思います。youtubeで検索すると動画でよりわかりやすく解説されている方がいますので是非そちらもご覧になってください。

ノズルカム

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ProBにノズルカムをつけてみました。プリント中に、樹脂の吐出の様子を観察することができます。

動画も撮れます。

ノズルカムはAmazonで購入した耳かきカメラを使って作りました。
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アームはなんだかんだ最終的には8自由度の多関節アームになりました。関節が7つで、カメラの軸回転を入れたら8自由度です。これでやっとカメラ位置を自由に決められるようになりました。
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カメラ画像を見ながらベッドレベルを合わせたり、プリント開始の際に実際の定着具合を見ながらbabystepを調整することができます。

また、実際に樹脂が吐出され積層される様子をしっかり見ることができますので、FDM式3Dプリンタの理解が深まるようにも思えます。

使用した耳かきカメラはこちら。

耳かき カメラ 耳掃除 WIFI接続 顕微鏡 高画質720P スコープ IOS Android Windows対応

マイクロスコープが1,000円で買える時代が来るとは…専用アプリでなくても、webカメラ用の一般的なアプリで接続できます。linuxでも使うことができました。

小ネタ。

コネクタ関係な小ネタ。

ホットエンドのヒーターとサーミスタの配線にコネクタつけて切り離せるようにしてみました。私の使っているタイタンエアロはスロートにネジが切られておらす横からイモネジで止めるタイプなので、配線を切り離すことが出来れば簡単にホットエンドを外す事ができるのです。
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フルメタルスロートとPTFEインナー入りスロート、真鍮ノズルと硬化鋼ノズル等、仕様違いのホットエンドを組んでおけばカートリッジとして気軽に交換することができます。

Metal ProB始動。

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いよいよテストプリント。の前にマイナートラブル。ベッドの温度が設定値よりもきっかり10℃低い温度までしか上がらず、そのままエラーで停止すると言う現象。

マザーボードとファームウエアを提供して頂いたT氏に相談し、修正したファームを入れてみるが変わらず。ふと思い立ってEEPROMを初期化したところ症状が消失した。

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早速造船。舳先の形状が反っていないのがおわかりだろうか。そして斜面の滑らかなこと。
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これは凄い。

フィラメントはTinmorry PLA、中華0.4mmノズル、レイヤーハイト0.2mmである。

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ジャンクションデビエーションが効いているのもあるが、全くゴースティングが見えない。フレームの剛性アップの効果が目に見えて(見えなくなって?)わかる。

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#3Dbenchy の文字。

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前窓のブリッジが全く垂れてないのはワーク冷却ファンのシュラウドを最適化できたため。
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右が今まで使っていたもの、左が新造したもの。今回、キャリッジに対してエクストルーダを10mm下げたので空間に余裕が出来、ダクトの高さをつけられた分開口部の形状や位置を最適化できた。冷却効果がかなり高まっている。
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寸法もしっかり出ている。

Z軸がホーミングの際に共鳴してうるさいのだが、プリント中には気にならない。

と、言うわけで今回の改造は大成功と言ったところでしょうか。やっぱり剛性って大事ですねぇ。

Metal ProB、9割完成。

暇を見ながらの作業のため時間がかかっていますが、ProBのメタルフレーム化は9割完成。稼働できる状態になりました。

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マザーボードはT氏から提供されたSKR1.3です。氏によるmarlin2.xのセットアップで、UARTによる電流制御、イベントLED、冷却ファン制御等様々な機能がイネーブルされています。
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LCDは使い慣れた2004をそのまま使用します。ステーはツイッターで好評だった引っ掛け式ステーです。
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最初、SKRと2004を接続しても2004が起動せず悩みましたが、以前海外グループでgeeetechのケーブルは逆になってるとの記事を見たことを思い出し、コネクタの凸部を削って逆に刺してみると問題なく起動しました。
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いつもアーレンキーの先で押していたリセットキーはボタンをプリントして使いやすく。
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フィラメントハンガーも引っ掛け式。こちらはただ引っかかっているのではなく、軽くロックするタイプです。振動で外れたりすることはありません。
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メインボードはフルカバーせず、ファンとそのステーで覆うだけとしメンテナンス性を確保。
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AC100V周りの固定は後でいいとして、レイヤーファンのダクトを設計します。いくつかシンギバの物をプリントして見ましたが、やはりオリジナルデザインで行くことに。アクリルフレームの時に使っていたリヤマウントの物を元にモデリング中。
レイヤーファンダクトが完成したら、あとは運用しながら仕上げて行く予定です。

 

マザーボード、一部焼けてました。

ProBの改造はコツコツすすめてます。先日、外したマザーボードを眺めていると…f:id:YBJack:20210303051416j:image

なんか焼けてます…。

一通りのパーツを組み付けて動作確認まで行なったんですがやはり正常動作を確認しています。

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焼けてるのはPWMファンの関連だと思うんですがちゃんとgcodeの指定通りに動きます…

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Y軸のドラッグチェーンもフレームに干渉したので作り直し。
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Xのドラッグチェーンは一部修整。ヘッド周りの配線も全てコネクタにしたのでメンテナンス性が向上してます。

Z軸のストロークが増えたため、ギリギリだったホットエンドの配線が届かなくなったので延長が必要です。

メインボードはSKR1.3に換装の予定。今つけてるメインボード保持パネルはGT2560とSKRの両方に対応する設計にしています。
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これから作る部品…

・メインボードのカバー(ファンのホルダーだけにするかも)

・フレーム溝にはまるケーブルホルダー

LCD固定ステー(2004をそのまま使う予定)

・フィラメントガイド(ハンガーは作成済み)

作業開始

ProBのフレーム交換作業開始しました。ああ、比較用のオブジェクト刷っておけばよかった。まぁ変化ないだろうけど…

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右はProB純正のアクリルフレーム。このアクリルフレームはキットの最初の物が震災の時に落下して割れ、geeetechさんの温情で無料で送ってくれたフレームです。思えばあの頃のgeeetechはホントにサポート良かったです。当時の日本担当のエージェントさんはみんな他のメーカーに移ったり独立して自分の会社を持ったりしてます。大丈夫なのかgeeetech。

左がA10のフレームを利用して作ったオリジナルフレーム。Z方向のプリントサイズは少し大きくなります。写真はもうX軸が移植してありますね。作業開始前に写真撮れば良かった。

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おおかたの動作部品の移植完了。今日はここまでかな。Z軸のリードスクリューは長さが足りなくなるので買い替えますが、それまではとりあえず下を固定せずオルダムカプラー無しで、X軸を吊るすようにして使います。

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写真はまだオルダムカプラーついたままですね。ドラッグチェーンも擦り直しかなぁ。