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機械いじりやモノ作りが趣味のYBJのブログです。

ノズル詰まりについて。

また半年空いてしまいましたが、今回は3Dプリンタのノズル詰まりについて。
まず大前提として、「ノズル詰まり」と呼ばれる症状のほとんどは、実際にはノズルは詰まっておらず、スロートでの詰まりです。
ノズルそのものが詰まることは皆無ではありませんが、今回はスロート詰まりのみについて、私が触ったことのある機種の具体的な例を上げて話していこうと思います。

case1 ボーデンタイプ
 Geeeteh A10はいわゆるender3互換機で、ボーデンチューブがホットエンドの内部まで入ってノズル底面に接しているタイプです。この機種では、「ノズル詰まり」とされたものの多くが「チューブがきっちり最後まで押し込まれておらず、先端にわずかに隙間がある」というものでした。これが原因でスロート詰まりになった場合、ホットエンドの内部で溶けたフィラメントがチューブを更に押し出してしまっている場合があり、スロート内部がすっかりフィラメントで埋め尽くされているものも見たことがあります。この症状は同様の構造のホットエンドを持つ機種全てで起きる可能性があり、Tronxy X5SAでも同じ症状を確認しています。

case2 ダイレクトタイプ
 私が最初に購入し、現在もメイン機であるGeeetech i3 ProBはMk8エクストルーダを装備したダイレクト式のprusa互換機です。この機種はエクストルーダのマウントベースがアルミの厚板で、これがスロートのヒートシンクを兼ねています。スロートはいわゆる4.1mmバレルタイプで、中にはスロートの長さピッタリか僅かに長い、外径4mm内径2mmのPTFEチューブがノズルに接するように入っています。この機種で私が良く経験したのは、このスロート内部のチューブ劣化による詰まりでした。PTFEチューブの耐熱温度は約240℃ですが、それ以下の温度でも徐々に劣化が進み、縮んで隙間ができたり、焦げて摩擦が大きくなっている場合があります。このチューブは消耗品と考えて定期交換するべきです。このチューブ先端の劣化は、ボーデン式のプリンタでも起きます。ボーデンチューブを予め長めにしておき、メンテナンスの度に先端を5mmくらいに切り落とすことでトラブルの予防になります。

case3 フルメタルスロートと軟質フィラメント
 同じくProBでのトラブルですが、この機械は私が日常的に改造を加えており様々な仕様を試しています。TPU等の軟質素材は扱いが難しいのですが、現在タイタンエアロ互換エクストルーダの使用で問題なく出力出来ています。ところが昨年TPUで大物のプリントをしていた所、出力半分くらいでフィラメントが出なくなる症状が続き、かなり材料を無駄にしてしまいました。色々と設定を変えてみましたが、小さいものだと問題なく出力されるため原因の特定に時間がかかりました。少し前に、高温素材を使うためにスロートをフルメタルの物に替えていたのですが、これがTPUとの相性が悪かったようです。PTFEチューブ入りのスロートに交換した所、最後まで押し出し不良の症状を出さずにプリント出来ました。

いかがでしょうか。少しでも吐出不良に悩まされている方の参考になれば幸いです。フィラメントが出にくくなったら、まずはスロートを疑って見てください。